2011年5月3日火曜日

骨盤、股関節の機能特性

 最近、臨床で考えていることの一つとして、股関節、骨盤の機能について考えたことをまとめておこうと思います。
 股関節や骨盤の機能特性として、水平性や方向性などを認知運動療法ではよくあげられますが、骨盤、股関節というのは下肢を連結させるために足部に対して押しつける力を作る器官でもあるのです。
 石井慎一郎先生の話によく出てきますが、ブロックを積み上げたモデルで、股関節が伸展モーメントを作り出し、荷重を接地面に伝える話です。
 詳細は石井先生の文献を調べてみて下さい。
 そのように考えると、骨盤は荷重を足部へ移す機能があるということです。つまり体幹の重さによる圧を足部へ移動させる機能があるということです。
 これは立ち上がりの際を考えると非常に分かりやすくなります。
 端座位では、支持面が臀部と足底になります。この際には、体幹の重さによる圧を受ける場所は、ほとんど臀部になります。
 そしてこの臀部の圧の移動を作り出しているのが、骨盤、股関節となるのです。
 体幹の重さから生じる圧を臀部から徐々に足部へ移動していく特性を骨盤や股関節が担っているのです。
 ということは骨盤に求めることは水平性などだけでは、不足してしまうのです。
 圧を作り出し、変化させ、それを荷重面に伝えるという機能も必要となるのです。
 認知運動療法の課題で、臀部へのクッション課題が行われていることを聞きますが、この機能特性の獲得を目指しているのではないかと最近考えています。
 また、股関節の動きと、足底圧との関係性を作るような課題も重要となってくると思います。
 自分で治療している感覚だと、立ち上がりがそのような課題で変化すると、歩行時の立脚期にまで変化を及ぼすことが見られます。
 これはおそらく、石井先生の言われている股関節が伸展モーメントを作り、荷重を接地面に伝える機能を獲得しているために、歩行にまで影響するのではないかと思います。
 
 小児でも歩行を開始する前には、たくさんの準備をしていきます。
 急に歩き出すわけではなく、歩くための機能を他の動作で、徐々に獲得し、それが結び付いた時に歩き出すのではないかと思います。
 なので、歩行の準備として必要な機能特性を考えていくことと、歩行のどのような特性が、どの動作に内在しているかを考えていく必要もあるのではないでしょうか。

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